5つの秘密5 secrets

良い家を手にするための5つの秘密。夢のマイホームなんだから、絶対後悔したくないですよね。そんなアナタにコッソリ教える快適すまい5つの秘密。

第一章

家族のふれあいを大切にしよう 間取りの失敗を防ぐ秘密

お客様はリビングで
もてなす

お客様はリビングでもてなす

 いざ念願のマイホームを建てるとなると、家族の誰もが夢を膨らませたくなるものです。子どもたちは自分の部屋をほしがるでしょうし、お母さんは家事室、お父さんは書斎…と、家族それぞれにマイホームで実現したい夢があるはず。せっかくだから応接間や客間、座敷もつくりたい…と、数え出したらどんどん部屋数が増えてしまいます。
 それを全部実現しようとするのは失敗のもと。たとえ敷地面積がたっぷりあったとしても、狭い部屋を数多くつくってしまっては、住んでいてゆとりを感じられません。ほとんど使わない部屋を思いきって断念すれば、本当に必要な部屋がそのぶん広く使えることに気づきます。
 りっぱな応接間や座敷をつくったものの、ほとんど利用されずに、やがて物置になってしまった、という例を私は数多く見てきました。もしそうなってしまうと、来客があっても物置と化した応接間や座敷に通すわけにもいかず、しかたなしに居間でもてなすということになってしまいます。
 それなら、思いきって応接間や座敷をはじめからつくらずに、そのぶん居間を広くして、お客さまはそこでもてなす工夫をした方が合理的です。不必要な部屋をつくらずに部屋数はなるべく少なくして、居間を思いきり広くする、それが間取りで失敗しないための第一のポイントです。

居間を
家族みんなが集まる
空間にする

では、居間を広くすると、どんなメリットが期待できるでしょうか。
 それは、居間を家族みんなが集まる空間にできるということ。ただし、そのためにはちょっとした工夫が必要です。
 昔は、茶の聞か家族だんらんの場所でした。生活が徐々に洋風化してホームドラマが流行したころ、家族が集うのは食卓でした。今ではリビングや居間と呼ばれる洋間が、家族だんらんの場です。
 居間には応接間としての機能を併せ待たせるのが一般的。ところが応接間としての体裁をあまり意識しすぎると、よそよそしい空間になってしまいます。
 かたち通りにリビングセットやサイドボード、文学全集を並べた書棚などの家具を並べ、大きなピア ノがある居間をつくってしまえば、家族が寄りつかないのは当然のこと。こうなれば居間までが物置になってしまうのは時間の問題です。
 居間をほんとうに家族が集う場所にするためには、居間に多くの生活要素を持ちこめばいいのです。たとえば書斎をつくらずに、居間の一角に書斎コーナーを設けて、パソコンもそこに設置する。
あるいは居間に子どもたち専用のテレビを置いて、そこでテレビを見たりテレビゲームができるようにする。そうすれば、食事を済ませたとたんに自分の部屋に閉じこもることもなくなるはずです。
そして、それだけの生活要素を持ちこむためにも、居間は思いきって広くする必要があるのです。

子供部屋は
寝るだけの部屋へ

子供部屋は寝るだけの部屋へ

 とくに子どもの生活要素をできるだけ居間に持ち込む工夫は、子供部屋に孤立させないためにも重要です。
 「個室主義」から「家族主義」へ。
 私は以前から、このように主張し続けてきました。子どもの健全な成長にとって「個室主義」は大きな弊害をもたらすと信じているからです。
 最近、中・高校生など未成年者の犯罪が急増しています。
 しかも、かつてなかった残虐な事件が少なくありません。そしてその動機は、私たちを困惑させるほど他愛のない、あるいは思慮の足りないものがほとんどです。現代人の人間性は、以前持ち合わせていた「思いやりの心」をいつの間にか失い、悪い方向へと大きく変質しつつあるのではないでしょうか。
 その一因は「個室主義」にあると、私には思えます。
 今までの家づくりは、子ども一人ひとりに個室があり、なおかつテレビやゲーム機・パソコンなどが持ち込まれているために、子どもたちは自分の部屋に閉じこもる傾向を強め、家族とのふれあいを希薄にしています。その結果、子どもたちは、他人や家族を思いやる気持ちを育む機会を失ってしまいました。
 住まいづくりは、家族関係を見つめなおす絶好の機会です。
 未成年者の犯罪が増え、心を病んだ子どもたちが問題となっている今こそ、子ども中心の「個室主義」を見直し、一家だんらんを実現するための住まいをつくるべきだと思います。

一階には
廊下は必要ない

 玄関を開けると廊下があって、一階のすべての部屋がドアで隔てられている。すぐ横には階段があって、それを上ると廊下があり、全部の部屋がやはりドアで隔てられている。かつてはこういう家づくりが一般的でした。
 旅館やホテルでプライバシーを守りたいのなら、こんな間取りが快適かもしれません。けれど家族が暮らすマイホームで、帰宅して家族の誰とも顔を合わさずに自分の部屋に直行できるというのは、決していいことだとは思えません。
 それよりも、玄関を開ければすぐ、ドアで隔てられていない広々とした居間に足を踏み入れる、そんな間取りこそ家族のふれあいを重視した家づくりと言えます。
 子どもたちが学校から帰ったら、居間で家族と顔を合わせて「ただいま」「おかえり」と必ず声を交わす。これはとても大切なことで、最近ではいじめや不登校などの問題が多発しているだけに、日々このような習慣を築いていれば、万一そのような兆候があったときにも、いち早く気づいてあげることができるはずなのです。それだけでなく、子どもの帰宅時に来客があった場合は、必ずお客さんと顔を合わせることになりますから、挨拶をしなくてはいけません。それが子どもたちにいい影響をもたらしてくれるのです。
 このように帰宅した家族とすぐふれあうためには、家族がいつも居間にいる必要があります。家族の笑顔を期待して帰宅したものの居間が無人だったら、とても寂しい思いをしてしまうでしょう。居間に多くの生活要素を持ち込む理由は、そのためでもあるのです。

一階全部を開放して
ラクラク家事動線

一階全部を開放してラクラク家事動線

 料理の準備や洗濯物の取り入れ、アイロンがけなど、主婦には多くの仕事があります。
それでも帰宅した家族とすぐに顔を合わせられるようにするためには、どうすればいいのでしょうか。
 思いきって、一階全部を開放された空間にしてしまえばいいのです。
 居間を中心に、ダイニングやキッチンをひとつながりの空間にしてしまう。座敷も必要がある場合だけ襖で閉ざせるようにして、普段はその襖を開け放っておく。そうすればほとんどの家事は開放された一階の空間で行えるので、どこにいても帰宅した家族とすぐに顔を合わせることができるようになります。
 もちろん一階全部がひとつながりですから、廊下が必要ないのは当然です。

一階全部を開放してラクラク家事動線

居間に「吹き抜け」
をつくる

 料理の準備や洗濯物の取り入れ、アイロンがけなど、主婦には多くの仕事があります。
それでも帰宅した家族とすぐに顔を合わせられるようにするためには、どうすればいいのでしょうか。
 思いきって、一階全部を開放された空間にしてしまえばいいのです。
 居間を中心に、ダイニングやキッチンをひとつながりの空間にしてしまう。座敷も必要がある場合だけ襖で閉ざせるようにして、普段はその襖を開け放っておく。そうすればほとんどの家事は開放された一階の空間で行えるので、どこにいても帰宅した家族とすぐに顔を合わせることができるようになります。
 もちろん一階全部がひとつながりですから、廊下が必要ないのは当然です。

居間に「吹き抜け」をつくる

納戸は分散させるのが
ベスト

 限られた敷地で効率的な間取りをしようとする際に、つい見落とされがちなのが納戸の存在。納戸を取らないと、結局収納家具が増えることになって部屋が狭くなるばかりでなく、地震が起きたときにはきわめて危険です。
 それに部屋に配置した収納家具よりも納戸の方が、はるかに収容能力は高いのです。収納スペースで失敗しないためには、必ず納戸を取るようにしましょう。
 その際のコツは、大きな納戸をひとつつくるのではなく、適当な大きさの納戸をいくつも分散してつくることです。
 各部屋の用途を考え、そこに必要な荷物や道具はどんなものかを想定して、その収納にふさわしいスペースや構造の納戸を分散してつくるのが最も効果的。もちろん一階にも二階にも確保しておく方が賢明です。
 とくにおすすめしたいのは、玄関に一坪ほどの収納スペースを確保すること。下足箱は当然別に設けますが、家族全員の履物をそこに収納するのは不可能だからです。それ以外にも、ゴルフバッグやスキー板、釣り道具、アウトドア用品などは、玄関に収納しておくと邪魔になりません。
 このほか、キッチンに食品庫、リビングにそこで利用する家電製品(扇風機や掃除機、暖房器具など)の収納庫を設けておけば、一階の収納スペースははぼ万全と言えるでしょう。

家族みんなの
記念日をつくる

家族みんなの記念日をつくる

 この第一章では、家族のふれあいを重視した間取りの工夫と、収納に失敗しないコツについてお話ししてきました。ここまではハードウェアのお話。最後に、この家をほんとうに家族がふれあう場にするためのソフトウェアについて、少しだけお話ししましょう。
 生活というものは、漫然と送っていたのでは、どんどんメリハリがなくなっていくもの。とくに最近の御時世では、季節感や年中行事というものが家庭から遠ざかっています。
 そこで、マイホームを建てるのをきっかけに、わが家の年中行事をつくってみてはいかがでしょうか。
 たとえば節句ごとに、家族揃って花屋に出向き、気に入った季節の花を買ってそれを活ける。その花に合うような絵を選んで、あるいは描いて額に飾る。花の活け方だって、絵の出来だって、なにも本格的である必要はないのです。家族揃ってそんな行事を楽しむのが目的ですから、むしろ多少は未熟な方が、昧があって思い出に残るにちがいありません。伝統的な行事だけでなく、家族独自の記念日をつくって、勝手に年中行事にしてしまうのも楽しいもの。たとえば子どもが泳げるようになった日など、家族だけに価値がある日をわが家の記念日にして、家族全員にそんな記念日をつくり、本人が喜ぶようなイベントを盛り込んだパーティーを開けば、家族のふれあいはいよいよ深まるにちがいありません。また、そのときに親戚や仲のいい友人もお招きすれば、人の出入りが多く明るいマイホームになっていくことでしょう。